俺も禿げたいブログ

孫正義氏の名言に触発された、将来禿げることが約束されたサラリーマンの日々の叫び

”非連続”であることの本質的な意味(『リーダーシップの旅』を読んで)

この本の価値

この本を読んでまず一番最初に思ったのは、『「巷で(99%の人はどうせ意味もわからず 流行り文句のように)よく使われている”非連続な成長”」の超本質的な意味を完全に理解できた』でした。

 

よくある「非連続な成長」に用いられる図は下記のようなもので、曰く「現在見える目標、すなわち一次関数的な目標ではなく、さらに数段アップした目標をセットすることで、一次関数的でない成長ができ、結果として(赤曲線のような)指数関数や二次以上関数曲線的な成長ができる云々かんぬん」なんですが、これ知って「へー!なるほどなるほど!じゃあ俺明日から非連続な成長できるんで頑張ります!」ってなりますか?笑 ならんでしょ笑

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非連続のよくある説明図

「破壊的イノベーション」とかも同じくで、殆どこういう言葉を使う99%の人(肌感覚だと85%くらいの人)は全部雰囲気で語ってる上に、実践に活かそうという意識が希薄なので、話すこともそれを聞くことも殆ど無意味です。

さて、何故これが説明として意味がないかというと、結果の観測(afterと客観)=表面を語ってるからです。これじゃ腹落ちしません。重要なのはbeforeとそのさなか(プロセス)にいる人の主観ではどう知覚されるのか、という生々しさが共有されて、初めて第三者にとっては読み物 or エンターテイメント以上の意味をなします。

この本はそれが初めて理解できた、という意味においてすごく価値がありました。 

本書で一番重要だと思うこと

では重要なのは何か。いちばん重要なのは、上図の一本目の青線の左端の点に自分がいるとした時に、『この地点(線上)にいる人からは「二本目の青線」のことは”絶対に見えない”』ということです。ここです。大事なことなのでもう一度言います。二本目の青線のことは絶対に見えません。この事実が一番重要です。

何故重要なのか。これが本書のリーダーシップ論と繋がります。

”リーダーシップの本質”と”見えないものを見ること”と”非連続な成長”は全てイコール

本書ではリーダーシップの特徴やプロセスとして、

  • (自分でもまだくっきりとは)見えないものを見て、
  • おぼろげにしか見えてないそれを見たい、実現したいと願い、
  • そう信じてまずリード・ザ・セルフ(自分自身がまず動き出)し、
  • その活動の中で巻き込まれていった人もそのおぼろげなものが見え始めた時、明示的なフォロワーとになりリード・ザ・ピープルになる
  • そしてリーダーとフォロワーの共振現象により大きなうねりとなり、その結果がリード・ザ・ソサイエティとなって、結果としてリーダーとなっている

という解説をしています。このプロセスの端緒は”見えないものを見ること”であり、この瞬間こそが非連続なのです。

非連続であるがゆえに、この実現にあたっては、今までのノウハウ・経験・今の能力・今アプローチできる人の範囲ではできず(この範囲でできるのであれば”見えている”ことになるため)、だからこそ難易度が高く、これまでの延長線上じゃない活動やプロセスに取り組まなければいけないのです。そのプロセスの結果として「自分のこれまでの範囲外」という意味で非連続な体験をし、それが結果非連続な成果や成長を生んでいる、とこういうことなのです(そう私は理解しました)。

なのでまとめると、”リーダーシップの本質”とは”見えないものを見ること”であり、また、見えないものを見てそれを実現するプロセスの中で、これまでの延長線上にない活動をすることで非連続なプロセスを体験し、そのプロセスの蓄積と総和が、成果や成功体験となったとき、その全体が自分の新たな地平となって”非連続な成長”をしている、ということなのです。

非連続な成長を生むための実践的意識

なので重要なことは、”見えないものを見ようとする”ことであり、それこそが最も大事です。そしてその、”見えないものを見ようとしている過程”においては、二本目の線のことは絶対に見えない、そのプロセスを経たあと結果として見えるようになるものなのだ、ということを知っておくことが、見えないものを見ようとする過程を支える、という意味において非常に重要な実践的意識になります。